毎月のように排卵や月経がある女性と異なり、男性のテストステロン値はバイオリズムの変動をそれほど受けません。加齢による影響も受けにくく、一般に30代でピークを迎え、その後は年齢を重ねるにしたがってゆるゆると値が低下していきますが、閉経後の女性のように激減することはありません。
しかし、最近になって、1日のうちでテストステロン値に変化があるという報告が寄せられました。それによると、最も多く分泌されるのは、朝だということです。起床前にペニスが勃起する、いわゆる″朝立ち″との関連も考えられますが、はっきりとしたことはまだ解明されていません。
それを知ってか知らずか″朝立ち″を利用してセックスに持ち込もうとする男性は多いようです。「せっかく勃ってるんだから」ということのようですが、休日でゆっくりできるときは別として、朝というのは概して慌ただしい時間。お互いの快感に集中できるゆとりはないでしょう。また、女性の愛液は体内の水分量と大きく関係しています。寝ているうちにコップ1杯分の汗をかくといわれますが、起きたときは軽度の脱水症状になっていることがよくあります。これでは女性は濡れにくく、困ってしまいます。このように朝は、セックスをするのに必ずしもよい条件がそろっているとはいえません。女性がその気になれないため、時間のあるときにゆっくりと楽し
むほうがいでしょう。
興味深いことに、女性は月経のリズムによってテストステロン値に変動があることがわかっています。行動学の研究者である坂口菊恵先生が、性衝動とテストステロン値の関係を調査したところ、女性は排卵日の少し前に、その値が最も多くなることがわかりました(グラフ参照)。
